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技術情報

【論文】心筋梗塞治療のための多層繊維シートによる心臓組織の開発!

大阪大学大学院 医学系研究科、心臓血管外科の劉莉 特任准教授・李俊君 特任助教が
動的灌流を利用した三次元多層繊維状足場を開発し、
その上に約2000万個のhiPSC由来心筋細胞(CM)を一度に播種し、
厚さ1mmの生存可能な組織に組織化することに成功されました。

概要と論文をご提供いただき、厚く御礼申し上げます。
この開発には、当社のNF-103を使っていただきました。

<概要>
人工多能性幹細胞(hiPSC)由来の心臓パッチは、心筋梗塞の治療に広く用いられており、臨床応用の可能性を示している。しかし、パッチの厚みが限られているため、その治療効果を妨げる可能性がある。われわれは以前、組織化された心臓組織コンストラクトの形成を可能にする繊維状足場を開発した。本研究では、上記の技術に基づき、動的灌流を利用した三次元多層繊維状足場を開発し、その上に約2000万個のhiPSC由来心筋細胞(CM)を一度に播種し、厚さ1mmの生存可能な組織に構築することができた。この多層心筋組織は、コントロール群と比較して、収縮特性が向上し、サイトカイン分泌が上昇した。特に、心筋梗塞モデルに用いた場合、多層心筋組織は機能回復が改善し、繊維化も少なかった。これらの結果は、臨床治療の開発には適切なhiPSC-CM投与量の慎重な評価が必要であることを示している。多層心筋組織群はコントロール群よりも大きな改善を示したことから、移植細胞を多く用量することが心筋梗塞の治療効果を向上させる可能性が示された。

⇒論文はこちらから