技術情報
ナノファイバーの医療向け事例
電界紡糸法(エレクトロスピニング法)によるナノファイバーの重要なアプリケーションのひとつで、最近特に注目されているのが医療向けの分野です。
国内外の化学・製薬・医療機器・繊維などの企業様、大学の研究室により技術、製品の研究・開発が進められており、当社にも多くのお問合せをいただいています。海外では、すでに製品化・商業化に成功した事例もあるようです。
医療の視点で見たナノファイバーの特長
配向性ナノファイバー
① 細胞接着性
細胞増殖の足場となりやすい
② 生体吸収性・生分解性
一定の時間をかけて体内に吸収・分解される
③ 多孔質性・膨大な表面積
・繊維間に薬剤が入り込める細かな隙間がある
・水分保持力が高い
・接触する生体組織に影響を与えやすい
④ 物理性・力学強度
強度や弾性が調整可能
ナノファイバーの特長を利用した製品開発例
ステント用サンプル
① 生体細胞培養、増殖の足場(スキャホールド)
・再生医療用足場材料 ( iPS細胞の培養、分離に適する研究結果あり。)
② 薬剤徐放・薬剤伝達システム (DDS)
・薬剤放出カプセル
・経皮吸収剤
・薬剤徐放人工皮膚、創傷被覆剤 など
③ 生体機能補助・代行
・人工血管
・カバードステント
・人工角膜
・人工皮膚
・人工骨等補填剤
④ 創傷、治療用途
・神経・臓器貼付剤
・創傷被覆・保護剤(ドレッシング材、絆創膏)
・透析膜
・医療用ガーゼ
・外科用接着シート、癒着防止材
当社製品による実績(例)
特製マンドレルコレクタによるチューブ状ファイバーの紡糸
NF-500
マンドレルコレクタを搭載し、直径3~6mm程度のマンドレルを回転させながら紡糸を行い、人工血管への応用を目指したチューブ状ファイバーを作製しました。
NANON-04, NF-500
φ200mm, 幅200mmのドラムコレクタを搭載し、最大3000rpmで高速回転をしながら紡糸をおこなうことにより、配向性ナノファイバーを作製しました。
NANON-04
ノズルの下に置いた溶剤の中に紡糸をおこなうことにより綿状のナノファイバーを生成し、それに薬液を浸し、骨や歯の治療をおこなうことを目指したサンプルを作製しました。