水資源の汚染は世界的な課題であり、特に合成染料は環境や人体に悪影響を与えるため、その除去が重要視されています。本研究では、ポリビニルピロリドン (PVP) を媒介にした電界紡糸法により作製したZnO-ZnFe₂O₄複合ナノファイバーが、発がん性が示唆されている水中のマラカイトグリーン (MG) 染料を効果的に除去することが明らかになりました。
🔬 研究の概要
- 作製方法: ZnOとZnFe₂O₄を1:1、2:1、1:2の比率で調合し、電界紡糸法で直径40〜60 nmの1次元ナノファイバーを形成しました。
- 構造特性: XRDおよびHRTEM分析により、ZnOの六方晶ウルツ鉱構造とZnFe₂O₄の立方スピネル構造が共存することを確認しました。
- 表面積: BET法により、Zn–Fe(1-1)が82 m²/gと最も大きな比表面積を示し、吸着性能に優れることが判明しました。
💧 マラカイトグリーンの吸着性能
- 最大吸着容量: Zn–Fe(1-1)は146.77 mg/gの最大吸着容量を達成し、pH 7の条件で優れた性能を発揮しました。
- 吸着メカニズム: ナノファイバーの負電荷表面とマラカイトグリーンの陽イオンとの静電引力、および表面水酸基とMG分子の水素結合が主要な吸着要因です。
- 再利用性: 吸着材は0.1M HClで再生でき、最大5回の再利用後でも80%以上の効率を維持しました。
📈 実用性と今後の展望
本研究は、ZnO-ZnFe₂O₄ナノファイバーが高い吸着容量と再利用性を兼ね備えた効果的な水処理材料であることを示しており、産業排水処理への応用が期待されます。
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参考文献
Raut, S., & Sahoo, S. K. (2024). ZnO-ZnFe₂O₄ナノファイバーによるマラカイトグリーンの除去効果. Results in Surfaces and Interfaces, 17, 100286. オンライン